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単純作業にもいろいろあるが、
何かを追記したり、積み上げていく足し算作業ではなく、
余計なものを削除する引き算作業を多く取り入れたほうが、精神的にラクだと思っている。


また、中小企業情シスは多くが「ひとり情シス」などの少人数だ。
ユーザとまともにやりあうと、多勢に無勢。結果は見えている。

個々に対処するのではなく、作業をなるべく大きく扱って、こちらの手数を減らす必要がある。


これらに共通するのは「大は小を兼ねる」の発想だ。

メールの署名は社内用と社外用を両方書いておく


上にある通り、私のOWA(Outlook Web Access)でのメールの署名の先頭は、


●●●部 ○○です。お疲れ様です。
株式会社■■■■ ○○です。
いつもお世話になっております。


となっている。
(OWAだとOutlookクライアントなどのアプリのように複数の署名を切り替えられない)


社内の人にメールを送る際は、2行目と3行目を削除し、
社外の人にメールを送る際は、1行目を削除してメールを送信するのだ。


メールを送るたび、毎度毎度会社名・部署名・自分の名前は打たない。
辞書登録での入力短縮を狙うのもいいが、削除のほうが作業が単純で良いと思っている。

その時間を合計すると、会社人生の中で結構な時間の節約になっているのではないだろうか。

データは余計に出力して絞り込ませる

例えば、四半期データ・半期データ・通期データを出力する仕事があるなら、
通期データだけを出力して、利用者には絞込みや不要なデータを削除してもらうべきだ。

ピボットテーブルでユーザの好きな期間で絞り込めるようにすればいいのだ。
1Q・2Q・3Q・4Q・上期・下期・通期などのボタンを作って、マクロを登録しておくのも良いだろう。

ユーザに多少の負担を強いる代わりに、データ提供のスピードを向上させて報いればよい。


ユーザごとにデータを絞り込んでやって、それぞれ切り張りして配布するなどは、過保護だ。
ユーザはそれを基準とし、
上げ膳据え膳が当然だと思い始める。
次回からも同様の手順を求められるのだ。

情シスとしては、そのような負のスパイラルに陥るのが怖いのだ。


ユーザ側の作業が増える場合は、
「情シスは手を抜いているのではないか」と言われる恐れもありそうだが、たいていは杞憂だ。
言われてから考えれば良い。

それよりも、データ提供のスピードを上げるなどして、
こちらも強く言えるような大義名分を得るほうに注力すべきだろう。

最初に全部登録する

当社では、基幹システムの顧客マスタ登録も情シスの仕事だ。

顧客マスタには、請求まとめ先、請求先、得意先、納品先などがある。
1つの顧客に複数のマスタ(当社では8つ)がぶら下がるのだ。


私が入社する前は、「請求先登録してください」「得意先登録して」と来る依頼に対し、
個別に登録していた。

でもこれでは、ある顧客のどのマスタを登録したのか、依頼がある都度チェックしなければならない。
依頼するほうも何度も依頼しなければならず、面倒だ。


そこで一度の依頼で、全種類のマスタを登録するようにした。

当初、請求先しか必要がない顧客もあるが、後で得意先が必要になることも多々ある。
最初から全部登録してあれば、後で追加登録する手間が省ける。


もちろん最初に多くの処理をやらなければならないので、情シスのパワーが必要になる。
基本的にはプログラミングで効率化するしかないだろう。
私の場合は、Accessでツールを作成した。



一括登録により、マスタ登録の依頼件数は大幅に減少した。
ユーザも何度も依頼する手間が省け、お互いにWin-Winだ。


情シスとして、1回当たりの作業量は増えるが、それこそ情シスが効率化すべき範囲のものだ。
プログラミングなどを駆使すれば良い話だ。



「大は小を兼ねる」は、要はスコープを大きく取るということだ。
作業を2つに分ければ手数は2倍になり、3つに分ければ3倍になる。

情シスにそんな余裕はないだろう。


また、一度分けてしまうと、整合性を考えなければならない。
分けたものの合計が正しいか、などをチェックする必要が必ず出てくる。
分ければ分けるほど、余計な作業が増えてくるのだ。


ユーザはすぐ細かく分けたがるが、本当にその必要があるかどうか、慎重に検討したほうがいい。
細かく分けるのは後からでもできる。

細かく分けたがるのは今も昔も「たわけ者」なのだ。