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会社は人数がすべての世界です。多いほうが正義となり、少ないほうは軽視されてしまいます。

中小企業のひとり情シスだと、100人程度の社員を相手にしなければなりません。
1対100は圧倒的不利です。普通なら勝ち目はありません。

かと言って犬死にも悔しいところ。
どう戦うべきか・・・

ランチェスターの法則

社内SEの戦い方の方向性を決める上で、ランチェスターの法則が参考になります。

第2次世界大戦でアメリカはランチェスターの法則を活用し、日本を敗戦に追い込みました。

ランチェスターの法則」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2018年6月5日 (火) 12:06 UTC


ランチェスターの法則によれば、

強者は二次法則を利用し、兵力・物量で圧倒するように戦いを進めるべき

弱者は一次法則を利用し、リソースを一点集中させ、各個撃破を目指すべき

のように、立場によって採るべき戦略が変わってくるということになります。

当然、社内SEは弱者の戦略を採用することになります。
敵は・・・他の社員ということですかねw

ランチェスターについての詳細は以下をどうぞ。

【新版】ランチェスター戦略 「弱者逆転」の法則 [ 福永雅文 ]

まず弱者の認識を持つ

社内SEとしての戦略を考える前に、まず弱者の認識を持つことが大事です。

だが簡単そうに見えて、これが意外と難しいのです。
強者だと自己評価していなくても、強者の戦略を取っていることが往々にしてあります。


1つとして仕事を完成させることができなかった、前社の上司などがその好例です。
社員からの要望をすべて受け、手広くやっているように見えましたが、
ただ単に優先順位を決められない、断ることができない気が弱いやつでした。

ランチェスターの法則から、広範囲に戦力を投入するのは強者の戦略です。
ただでさえリソースが少ない弱者の分際で、それを行えば敗北しかありません。
結局、前社の上司は抱えこんだ仕事を、すべて中途半端な状態で私に押し付け、逃げました。


要は彼にはセンスが無かったのですが、プライドだけは一人前なんですよね。
何かにつけて「まだ手をつけられていない」と言い訳をしていましたが、後で調べると着手した痕跡が残る仕事がたくさんありました。中途半端に手をつけたが、うまくいかないので放り出したのでしょう。
せめて正直に白状すればいいものを・・・
くだらないプライドのせいで、私はイチから苦労するハメになりました。

中途半端なプライドがあると、弱者の戦略を採ることができないのです。

弱者の戦略

自分は弱者だと認識したところで、
もう一度ランチェスターの法則に立ち返ってみます。

ランチェスターの法則を踏まえると、弱者の戦略としては、

・戦い方を工夫する

・戦闘員の能力・武器性能を上げる

で差別化していくしかありません。

では具体的にはどうすべきなのか。

社内SEの弱者戦略1 100点満点を目指さない

100点満点を目指さないとは、戦い方を変えるということです。

戦略のベースとなる考え方は、パレートの法則です。
上位20%の要素が、全体の80%を占めるというやつです。
例えば、売上上位20%の顧客は、全体の売上の80%を占めています。

自分の工数上位20%のタスクは何だろうかと考えてみます。
ルーティン作業だったらツールを作って効率化する手があります。
毎度毎度同じような問い合わせをしつこく受けているなら、マニュアルを作ってそれを配布すると問い合わせは減ってきます。
まずはこういったことを地道に行うしかありません。


ただしそれを行う上で、100点満点を目指す必要はありません
ツールは一気通貫でなく中間ファイルを作るまででもいいし、マニュアルも簡単なもので良いのです。

何故100点満点を目指す必要はないのか。ここでもパレートの法則が登場します。
80点までは一気に達成できますが、その後は非常に効率が悪いのです。

社内SEの仕事が破綻しかかっている状況なら、80点すら目指す必要はないかもしれません。まずは60点くらいの感覚で十分です。
他のウィークポイントが改善でき、余裕が出てきたら、また戻ってきて続きをやれば良いのです。

私は航空レーダーのように、ずっとぐるぐる回っているイメージで仕事をしています。

・360度全方向をまんべんなくチェックし、不意打ちを防ぐ。
・問題を捕捉したら、速やかに撃破。深追いはしない。
・そしてまた全方向のチェックに戻る。

問題の根本解決は、余裕ができ次第やればいいのです。

本当に根本解決できる時が来るのか?と心配されるかもしれませんが大丈夫です。
後述しますが戦闘員の能力・武器性能を上げると、対症療法と原因療法の両方が一気にできるようになってきます。


100点満点を目指さないというのは、時間を大事にするということでもあります。

弱者にとって、時間は最も貴重なリソースとなります。
何故なら強者と戦う上で、平等に与えられているリソースは、時間だけだからです。
時間を無駄にしている時点で、勝ち目はありません。



100点満点主義は要は八方美人ということです。

特に「いい人でなければならない」という思い込みは捨てるべきです。
そもそもひとり情シスは理不尽な立場なのです。綺麗ごとを言って何とかなる状況ではないのです。

社内SEの弱者戦略2 プログラミングの活用

プログラミングの活用は、「戦闘員の能力・武器性能を上げる」ことになります。
プログラミングによる一般社員との生産性の差は、2倍や3倍ではありません。1000倍2000倍の単位となります。

1000倍2000倍などと言うと、大げさに聞こえるかもしれません。
でも考えてみてください。1時間は3600秒です。

一般社員が1時間かけている作業を、プログラミングで1秒にすることは十分可能でしょう。
それ以上の効率化が可能かもしれません。


私はAccessとExcelマクロで凌いでいます。若い頃にやっておいて本当に良かったと思っています。

「Accessなんておもちゃだよね」と転職の面接で言われることもありますが、自分の業務が効率化できている事実があります。
いくらプログラミング言語を知っていても、実際の業務効率化につながっていないのなら、宝の持ち腐れでしょう。

次面接でそんなことを言われたら、「じゃああんたできんの?」と聞いてみるつもりです。
面接途中で帰るかもしれませんw
そんな失礼なことを聞いてくる会社では、きっとまともに評価されないですから、落ちても良いです。

関連記事:

社内SEの弱者戦略3 ネットワーク知識の活用

ネットワーク知識の活用も戦闘員の能力・武器性能を上げる」ことになります。

ネットワークの知識は、地味に効いてくるのです。
最近はパソコン・スマホを個人でも持っているので、”自称”ITに詳しい一般社員が増えました。
社内SEにいろいろアドバイスしてくれる人もいます。「メモリが・・・」「ディスクが・・・」

うるせーってのw



でもネットワークだけは違います。企業のネットワークは一般社員には敷居が高いのです。
家庭で多拠点通信をやっている一般社員は、かなり少ないはずです。
たとえ中小企業であっても、2拠点あればWANが存在することになります。
企業でなければ、実践的なネットワーク運用には関わりづらいのです。

特に障害対応は経験も必要です。
障害が起こると、”自称”ITに詳しい一般社員は途方に暮れるだけです。普段の饒舌はどこへ行ったのやら・・・
こういう時こそこちらのお株を奪って欲しいのですがw

障害対応は、最終的にはベンダーに任せることになることも多いですが、障害の切り分けができるだけで格段に解決が早くなります。
ネットワークは1か0かの状況になることがほとんどです。半分だけつながっているということはありません。障害が起きると何もできなくなります。
早期解決能力は大きな武器となります



私のネットワーク知識は20年前のものがベースですが、今だに何とか凌げています。
ネットワークの基本的なところは20年前と変わっていません。
あの頃基本をしっかり勉強しておいて良かったと思っています。


戦闘員・武器の能力が上がれば、戦闘時間を短くすることができます。短時間で成果が出るようになります。
そうすると余った時間を使って、ますます能力を向上することができます。
自然と戦い方も変わってきます。

その良いスパイラルに入ると負けにくくなるのです。



社内SEで強者などそうそういません。むしろ強者だとうぬぼれるほうが危険でしょう。

ただし弱者の戦略を採るからといって、卑屈になる必要はありません。
弱者の戦略は弱気の戦略ではありません。
むしろ弱者ほど強気に行かないといけない場面が多々あります。

大事な時に強気になれるかどうかがポイントとなるでしょう。
「ダメなものはダメ」と断るときなど、弱気じゃ押し込まれてしまいます。そしてそれが癖になる。
過去の上司など、
ダメダメな人は皆大事なところで弱気でしたよ。