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Exchange Onlineを長いこと使っていると、メールボックスがいっぱいになってきます。

※各ユーザのメールボックス利用状況は、

Exchange管理センター>レポート>利用状況>Exchange>メールボックスの使用状況

で確認できます。

不要なメールを削除するのがわかりやすい対処方法ですが、手間がかかり大変です。

もう一つの手段として、インプレースアーカイブ機能があります。

インプレースアーカイブとは、ユーザーのメールボックスに保管されているメールを、別途のアーカイブ メールボックスに移行する機能です。これにより、ユーザーのメールボックスの容量を節約することができます。

便利そうな機能だとは思うけれど・・・

  • メールが消えたりしないか
  • どういう流れでメールが移動するのか
  • 注意点は

という不安もあると思います。

私もこの機能を利用する際、少し不安に思い、事前に調べました。

今回は調べた内容を共有できればと思います。

インプレースアーカイブの概要

インプレース アーカイブ機能を有効化すると、ユーザー メールボックスの他に、別領域のアーカイブ メールボックスが作成され、利用が可能となります。
Outlook on the web メール画面の左ペインのフォルダー 一覧に、自動的にアーカイブメールボックスのフォルダーが表示され、送受信用のユーザーメールボックスとは別のアーカイブ メールボックスの領域へアイテムの移動や、格納されているアイテムの確認を行うことが可能です。
アーカイブ メールボックスへ移動される対象のアイテムは、メール アイテムの自動移動 ・ 削除を行う機能である "アイテム保持ポリシー" の動作で設定されている期間を過ぎると、自動的に移動される動作です。また、ユーザー自身で手動で移動する事も可能です。

既定のアイテム保持ポリシーが適用されている場合、インプレース アーカイブを有効化後、メールボックスに格納されている "アイテムの作成日または受信日から 2 年経過しているアイテム" が、アーカイブ メールボックスへ自動的に移動されます。
なお、アイテムが自動移動する際は、ユーザー メールボックスと同名のフォルダーがアーカイブ メールボックスに作成され、アイテムが対象のフォルダーに移動されます。

インプレースアーカイブ有効時に利用可能になるアーカイブメールボックスの容量はプランにより異なります。
・ Exchange Online Plan 1
通常メールボックス : 50GB
インプレース アーカイブ : 50GB


・ Exchange Online Plan 1 + Exchange Online Archiving for Exchange Online
通常メールボックス : 50GB
インプレース アーカイブ : 100GB ※ 自動拡張適用により最大 1.5TB


・ Exchange Online Plan 2
通常メールボックス : 100GB
インプレース アーカイブ : 100GB ※ 自動拡張適用により最大 1.5TB

※Exchange Online の制限 > メールボックス格納域の制限
https://docs.microsoft.com/ja-jp/office365/servicedescriptions/exchange-online-service-description/exchange-online-limits#mailbox-storage-limits


※自動拡張アーカイブの概要
https://docs.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/compliance/autoexpanding-archiving?view=o365-worldwide

なお、容量が上記の上限に達すると、アイテムが移動されなくなりますので、不要なアイテムを整理するなどの運用が必要です。

インプレースアーカイブ適用時の不安点Q&A

  • Microsoft 365 Business Basicには、Exchange Online Plan1が含まれていますか。
    Microsoft 365 Business Basic は Exchange Online Plan1 が内包されるプランです。

  • 既存ユーザのインプレースアーカイブの設定をオンにすると、2年以前のメールがアーカイブフォルダに移動するということでしょうか。
    ⇒既定のアイテム保持ポリシー[Default MRM Policy] 内の保持タグ [Default 2 year move to archive ] が割り当たっている場合、上記の動作となります。

  • 一度インプレースアーカイブの設定をオンにして、オフに戻した場合、メールはアーカイブフォルダからユーザー メールボックスに戻りますか。それともアーカイブフォルダに残ったままになりますか。
    ⇒インプレースアーカイブを無効化しても、プライマリメールボックスにメールアイテムが戻ることはありません。そのためインプレースアーカイブを無効化した時点で、そのメールアイテムは参照できなくなります。 ただしインプレースアーカイブ無効化後、30 日間以内であれば、再度有効化することで復元することができます。

  • アイテム保持ポリシーを2年から減少させた場合(例えば1年)、1年前~2年前のメールが追加でアーカイブフォルダに移動するということでしょうか。
    ⇒上記の通り。既定のアイテム保持ポリシーをの期間を変更すると、変更に応じてインプレースアーカイブにメールアイテムが移動する動作になります。

  • アイテム保持ポリシーを2年から増加させた場合(例えば3年)、2年前~3年前のメールはアーカイブフォルダからユーザー メールボックスに戻りますか。それともアーカイブフォルダに残ったままになりますか。
    ⇒アイテム保持ポリシーは、ユーザーメールボックスの中にあるメールアイテムを一定期間経過後に自動でインプレースアーカイブに移動または削除する機能のため、インプレースアーカイブからユーザーメールボックスにメールアイテムが自動で戻ることはありません。

  • アイテム保持ポリシーの設定を見ると、何も設定が表示されないのですが、新しいアイテム保持ポリシーを追加する必要はありますか。
    ⇒削除などされていない限り、テナント作成時に、既定のアイテム保持ポリシー[Default MRM Policy] は作成されて存在しています。
    既定のアイテム保持ポリシー [Default MRM Policy] は、以下の手順でMicrosoft Purviewから確認することができます。

    1. Microsoft 365 管理センター (https://admin.microsoft.com) にアクセスして、管理者権限を持つアカウントでサインインします。
    2. 画面左側の [すべて表示] をクリックして、 [コンプライアンス] をクリックしてMicrosoft Purviewを開きます。
    3. [データ ライフサイクル管理] をクリックして、 [Exchange(従来版)] をクリックして、 [MRM アイテム保持ポリシー] をクリックします。

    ※アイテム保持ポリシーの「Default 2 year move to archive」は、インプレースアーカイブがオンになると適用されます。

  • メールの検索はユーザー メールボックスとインプレースアーカイブのメールボックス別々に行う必要がありますか?
    ⇒ユーザー メールボックスとインプレースアーカイブのメールボックス、両方を横断的に検索できます。

インプレースアーカイブ適用の流れ

  1. Exchange管理センターで、ユーザのメールボックスアーカイブを有効にします。 (メールボックスの管理で該当ユーザの設定を開き、「その他」タブをクリックし、「メールボックス アーカイブの管理」をクリックすると、アーカイブを有効にできます。)
  2. アーカイブ機能有効化後、数時間~24時間経過すると、「フォルダー」と同列に「In-Place Archive~」が表示されます。(「In-Place Archive~」の表記は変更可能)
  3. アイテム保持ポリシーの期間(デフォルトは2年)以上経過したメールが自動で「In-Place Archive~」に移動していきます。
  4. 数日後、移動が完了します。(ユーザー メールボックスのサイズが50GBの場合)

※既存のフォルダーも自動で作成されます。
※手動でのメール移動も可能です。
※インプレースアーカイブのメールボックスもいっぱいになった場合、プランによってはこれ以上の容量拡張は不可となります。



ユーザー メールボックスとインプレースアーカイブのメールボックス、両方を横断的に検索できるようになり、使い勝手における唯一の弱点がなくなったように思います。

インプレースアーカイブ機能を使わない理由はありませんね。 

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